PS3「The Last of Us」レビュー　崩壊後の世界を生き抜く、現行機最高峰のサバイバルアクション

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2024/04/24

PS3「The Last of Us」レビュー　崩壊後の世界を生き抜く、現行機最高峰のサバイバルアクション

SCE久々の正統派大作　時間を忘れてプレイ出来る

【設定・あらすじ】
20年前、未知の寄生菌の蔓延によって人類の多くが死滅し、都市は廃墟と化している終末の世界。
寄生菌感染者は人間を襲う異形のモノに変異し、食料と秩序を失った人々は奪いあう暴力が支配する恐怖の時代。街は軍によって徹底管理されていた。

感染者

世界の崩壊で全てを失った中年ジョエルと文明を知らない少女エリーが主人公

絶望と生存のために悪事もいとわないやさぐれオヤジのジョエルは、ある出来事をキッカケに小生意気なガキ、エリーを連れて旅に出ることに。

本作は二人の旅の1年を描く。

【ゲームはステルスメインのアクション】

　
ハンドガンからアサルトライフル、火炎放射機、火炎瓶など多彩な銃火器を使ってドンパチも可能だが、主人公たちは普通の人間で、さらに社会の疲弊から銃弾も少ない。
強烈な攻撃には一撃死のシーンも多く感染が進んだ「クリッカー」の噛み付きや、軍人の至近距離ショットガンなどであっという間にゲームオーバーになる。

基本はメタルギアやスプセルのようなステルスキルで倒すかレンガなどを投げて注意を逸らし逃げる他はない。
世界観にあった近接格闘メインのドロ臭い戦闘だが、少ない資源でどのアイテムを作るか、フィールドをどう立ち回るか戦略性と緊張感のあるバトルになっている。

▲聞き耳で大まかな敵の位置が探れる

ジョエルの能力強化と武器の改造もあるが、バランスが壊れるほど大きな成長は無い。
難易度が初級から上級と最高難度のサバイバルの4種に分かれていて、それぞれクリア後に「強くてニューゲーム」が選択可能。拾える弾薬は難易度の上昇で減る。
難易度は割と高めだが、オートセーブで過去1分位の間隔で保存されておりリロードも早くストレスは少ない。

感染者との戦闘は11：00から

狩猟や乗馬などのステージも存在する

　

【PS3をフル活用したグラフィック】
一部は次世代機かと見紛うほどの高品質な背景
文明が衰退し、都市が自然に飲み込まれていく様子が美しい描写で再現されている。
2人の旅の進行に合わせて四季が移り変わるのも素晴らしい。

一本道との批判もあるが、プレイすれば狭さを感じさせないステージ。

　
▲見える建物は全て2・3階部分も入れ裏庭も作りこんでいる

　
▲秋の大学跡

▲春の高速道路

オープンでは無いけど探索/謎解き有りのシステムでこれ以上広くなっても困る。

【シームレスな流れ】
とにかく暗転してのロードというものが一切ないことが驚きで、重厚なストーリーと相まってやめ時が分からなくなる。イベントもインゲームのモデルと遜色が無く、ゲーム⇒イベント⇒ゲームの境界が丁寧につながっている。

【重みのある物語・演出】
アンチャーテッドではB級映画のノリでかわしていた部分もあったが今回はガチなシナリオ。
生をテーマにしたハードな内容で難易度と共に歯ごたえがある。
絶望的な世界で失望したおっさんと、強さを持つ少女の絆がストーリーの進行に合わせて深まり、戦闘や移動中のしぐさも変化していく。

また窮地に陥ったひとびとが生き残るために何を選ぶのか、略奪するのか逃げるのかそれぞれの人間模様が町に落ちているメモや落書きからそこかしこに見られ、洋上や下水道に逃げた者や山賊家業に手を染めるものなど多彩だ。

もちろん終始重苦しいだけではなく、エリーのダジャレイベントや廃ホテルで金持ちマダムごっこなど随伴者がしゃべりまくり、ジョエルが突っ込むなど笑えるシーンも。

多くは語られないが、転がる死体たちにもそれぞれの人生が垣間見える。

▲壊れた世界に心中を選んだ男女の亡骸

深刻なものではないけどたまに見られるテクスチャ抜けのバグや、リトライ時にアイテム回収もやり直しになること、不満な点もあることは確かだが、それを踏まえてもここ数年で一番面白かった。
物語が終る頃にはやつれたおっさんと小憎らしいクソガキの二人が愛おしくすら思えてくる。
PS3を持っていてこれをプレイしないのはもったいないほどの出来。

amazonで星1が多いのは評価が趣味な方とハードルを上げ過ぎた方なのではないでしょうか。

クリア時間は初見中級で約16時間
1度目のプレイで開放したトロフィーはたったの三個（1%）とシビア