PS3「アルノサージュ」感想　土屋Dにやられた! これは間違いなく名作だ

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2024/04/24

PS3「アルノサージュ」感想　土屋Dにやられた! これは間違いなく名作だ

あまりにも厳しい販売だったアルノが不憫だったので感想を。

本作は3万本で終わるようなタイトルではない! 人を選ぶが紛れも無い名作、と言いたい。
個人的には「魔女と百騎兵」以来の和ゲーのあたり作品だ。
ダークソウルⅡの発売日にせめてもの抵抗としてネタバレしない範囲で雑感を書きたい。

■シナリオ・構成にやられた!
プレイヤーがプレイヤーとして物語に関与する仕掛けが多数のメタフィクショナルな構成がすばらしい。
アルノサージュが「実在する世界」としてみせる構成の腕前はさすがとしか良いようがない。
「ユーザーが何のためにゲームをするのか」と言う根幹の前提から考えさせられる。
独自の世界設定は美しくも儚い。

■シェルノサージュ・アルトネリコとの関係
良く言われる前作プレイ必須かどうか。
特にPSVitaの「シェルノサージュ」は登場人物と世界を共有しているが、作品としては独立している。
（シェルノは最初の3話をプレイ済みです。）
軽くネタバレしてしまうとシェルノから数千年の時間が経過していて、キャラクターの時間も数年が経過している。
難解な箇所はあえての演出で前作をプレイしたから理解できるものではないと思う。

■疾走感あふれる戦闘
とにかく快適でスピード感のあるアクション要素高いバトル。

ランダムエンカウントでフィールド上の全てのモンスターと会敵し、モンスターは3～10体のパーティが10～20グループと一挙大量に登場。
プレイヤー側は強大な魔法を持つヒロインとそれを守る前衛の主人公の2人で、前衛は△□×ボタンの組み合わせでテンポ良く敵を叩く。
（△は敵前列のなぎ払い、□は単体攻撃、×はブレイク効果の高い攻撃）
モーション中の敵を叩けばターンが永久に終了しないので、効率の良いコンボを続ける戦略性がある。
仕上げにヒロインの強烈な詩魔法で一掃することも短めに切り上げることも可能。
難易度ノーマルはシナリオだけ楽しみたい人向け、戦闘を楽しむにはハードかベテランを選ぶべき。

■精神世界を旅する「ジェノメトリクス」
仲間の深層心理にダイブし、心の壁や傷を癒すことで絆を深め、強化するという本作の目玉パート。
シンプルな悩みから重篤な問題まで多数存在し、キャラクターのやりすぎなまでの掘り下げも見所。
修羅場を乗り越えてこそキャラクターが立つ。

■バグ・ロードなど快適さ
ロード時間がとにかく短い。
当たり前のことだが快適性の高い事が意外と中小作品で守られていないことが多い。
難解な造語の解説は会話中にセレクトボタンで辞書機能の呼び出しで見られる。
次の目的などもメニューに表示されるので迷うことは少ない。
バグは進行困難になる再現性の高いものが一箇所あるが回避可能。
フリーズはスリムPS3（3000番）で一度も起きず。

■独特のクセの強い演出
アルトネリコから続く独特の土屋ワールド。昭和っぽいノリを許せる度量が求められる。
過度なエロ表現と一見媚び媚びでステレオタイプの女キャラは女性ユーザーからの受けは悪いだろう。
ただしシナリオを進めると前述の「ジェノメトリクス」でそんなサービス過剰なキャラ像は崩壊する。

■悪い点
アトリエシリーズ同様ガスト特有のシンプルすぎるダンジョンとキャラクターの滑るようなモーションなどはさすがに大手作品に引けをとる。
セリフ音声の調整不足? 音量に若干差があるように感じる。
ムービースキップ機能非搭載。全滅後にイベントを毎度見るのは骨が折れる。
調合もあるが、A+B+C=Dのような単純なもので数値や特性が変わったりする本格的なものではない。
アニメパートが古い印象を受ける作画。3Dモデルの方が顔がいいのはマズイ。

■総論
粗も多いが、それを越えて余りある良点。
日本のメーカーが失いつつある、没入感の高く作家性の強いRPG。
オタッぽいノリに抵抗が無ければ間違いないと思う。
ゲーム終了後の余韻を久々に味わえた良心的な作品だ。
シェルノサージュは3話で中途挫折したが最後まで一気にプレイできた。
言うまでもなく音楽もカッコいい楽曲が多数。

「俺がイオンちゃんを守る!」と年甲斐も無く思わせるプロットは凄い!
土屋チームの次の作品も楽しみだ。

おまけフラゲGKさんのアルノ感想
http://hissi.org/read.php/ghard/20140307/VXV1eDVGUGow.html