押見修造、惡の華6巻感想 ネタバレあり。1~5巻の感想はこちら
[自意識をぶち壊せ! 押見修造「惡の華」]
5巻までのあらすじ
主人公の中学生
春日高男(かすがたかお)は、ひょんなことからクラスで浮いてる
仲村佐和(なかむらさわ)と主従関係になってしまう。
高男はあこがれ
佐伯奈々子(さえきななこ)と付き合いだすものの、次第に高男の気持ちは仲村に傾倒していく。
仲村の言う「向こう側の世界」を手に入れるために、高男は仲村とアブノーマルな世界に堕ちていく。
このクソったれな世界をぶち壊すために二人は夏祭りの破壊を計画する。隠れ家で計画を練る二人の距離は近づいていく。
しかし、高男をあきらめきれない奈々子は高男に迫り、さらには隠れ家に放火するという暴挙にいたる。
稚拙で根拠の無い二人の計画と秘密は、奈々子の捨て身の介入で消えかける。
▲色仕掛けで迫る佐伯奈々子。こうなったら意地だ。
▲佐伯さんが一番の加害者で被害者なのかもしれない。
▲放火にも色仕掛けにも二人の関係は崩れるそぶりを見せない。本音をぶちまける佐伯。
「どうして私は仲村さんじゃないの!?」
ここから6巻
河川敷とはいえ消防隊が出動する騒ぎになってしまった放火騒ぎに警察が探りにくる。
高男の家族は彼の状況を見て、当面の外出禁止を言い渡す。
それでも仲村さんに心酔する春日は抵抗し・・・。
▲父親にも反抗する高男。
そんな自宅軟禁状態の高男に訪問者が。
あきらめない女・佐伯だ! コンサバティブな田舎娘の風情だった重い黒髪ロングが無くなっている・・・。
吹っ切れたのか、突き抜けてしまったのか。
彼女は二人の暴走を止めようとしている。
▲この笑みにはどんな意味があるのだろうか。
▲呼ばれてない男のベッドでこの表情である。恐るべし佐伯奈々子。人間魚雷だ。
▲「向こう側などはない、世界は灰色に包まれている。」という佐伯の言葉にも高男は耳を貸さない。
「さよなら」
「向こう側など無い」それでも孤独な仲村を救いたいと願う高男。「君を救うことが僕の“向こう側”なんだ」
正統な中二病の発現だ。
学校や家族との摩擦が日増しに大きくなっていく中で、ある夜 春日家の玄関がぶち破られる!!
仲村がやってきたのだ!
▲金属バット&土足でおうち訪問ある。
▲「さっさと来いよ 空っぽ人間」 高男のどS女神が光臨した!!
▲エキセントリック ホルターネックな仲村さん。美しい。
▲二人は逃げ込んだ廃屋で“夏祭り破壊計画”を練り直す。近い。
▲しかし、どこまでも物騒な仲村佐和。彼女もまた自分の存在と世界の関係に苦しむ。
二人の破戒の結末はどこに向かうのか。夏祭りの舞台に上がるところで6巻は終わっており、続きが早く読みたい。
放火事件から登場人物たちがそれぞれ振り切れていて、結末が見えない。
思春期のドロリとした苦悶の日々がさらに煮詰められたようで、読んでいて懐かしくも気恥ずかしくなるような登場人物たちが秀逸だ。
いつか二人も、自分達が世界の一部に過ぎないことに気づいてしまうのだろうか。物語の締めは難しそうだ。
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