証券アナリスト 栫井(かこい)駿介氏が任天堂株の急上昇はバブルだとして警鐘を鳴らしています。
以下概要
●株価の上昇
・株価が4月以降の上昇率が40%にのぼり、Wii以来の高水準になっている
・これは出足が好調なSwitchへの期待からで、任天堂も7500億円と高い売上計画
●現在の株価を正当化するにはWiiの再来が必須
・一方でPER(株価収益率、時価総額÷純利益)は100倍近く他に無いほどの割高
※一般的に割高割安の境界は業種によって異なりますが20倍とか15倍とか言われています。
・例えばPER30倍を正当化するには純利益が1700億円必要、現在の株価正当化にはWiiの再来が必須
・Wiiは06年に発売し累計1億台、発売から3年で売上高を1.8兆円まで押し上げた世界的な成功
・ゲームユーザーだった子供やマニアから一般家庭に広まった
・だが需要が一巡し最高益から3年後には赤字を計上することになった
・急激な需要増に合わせ増加した人員など固定費が影響
・その後はコスト分を凌ぐのがやっとという状況が続いた
●Switchの現実は厳しい
・しかしSwitchがWiiになる可能性は低いと考える
・SwitchはWiiとDSの携帯/据置需要をまとめて取り込むことに成功
・しかしゲーマー以外の取り込みはスマホ/タブレットの普及で難しい
・またWii並みにヒットしても需要が一巡した後、Wii同様伸び悩む
●市場は浮かれていないか
・売買高の上昇は3つの要素からなると推測
1.夢を売る任天堂のビジネス
2.Switchへの期待(Wiiの夢よ再び)
3.好調な株式相場
http://www.mag2.com/p/money/263217
スイッチはまだ普及の途上にある段階で、一定数いるファンらが買う初期の需要で「売れている」とするのは早計でしょう。
またスイッチの成否はともかく、株価は割高なのは紛れもない事実。
Wiiの巨大ヒットを放つ以前の2001年以来の売上高5000億円割れが2016年度の実績で、過度な状態だと思われます。
以下の業績推移には15年度、16年度が描かれていませんが下降を継続。
16年度はGC/GBA時代を下回る4891億円の売上高
PS4らの据置機隆盛の市場で携帯ハイブリッド機のスイッチが存在感をどれだけ出せるか、スプラトゥーンに続く任天堂らしいソフトを発表できるかに期待です。
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